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第12回 世界絵画大賞展タイトル画像

「第12回 世界絵画大賞展」審査員の言葉

第12回世界絵画大賞展の審査を担当した4名の審査員をご紹介と、各審査員の「審査のことば」を掲載いたします。

遠藤 彰子先生

遠藤 彰子先生
  • 審査委員長 遠藤 彰子(えんどう あきこ)
  • 1947年東京都生まれ。 武蔵野美術短期大学卒業。
  • 78年昭和会展林武賞。86年安井賞展安井賞、文化庁芸術家在外特別派遣(~87年・インド)。04年府中市美術館にて個展。07年平成十八年度芸術選奨文部科学大臣賞。14年上野の森美術館にて個展。14年 紫綬褒章 受章。
  • 現在、武蔵野美術大学教授、二紀会委員、女流画家協会委員

審査を終えて

今年の世界絵画大賞展は、応募点数が149点も増え、近年では最もレベルが高かったように思う。

大賞の津田光太郎さんの作品は、破壊された町に横たわる巨大アンドロイドのような人物と、細部まで丁寧に描かれた生命感あふれる描写とのアンビバレンツな関係性が興味深く、強く印象に残った。
朽ちていくのではなく、再生に向かっていくかのように感じられるのは、作家が自身と重ね合わせているからであろうか。
作品からは不思議と芯の強さが感じられた。

優秀賞の鶴川勝一さんの作品は、独特のフォルムと色彩が、会場内で群を抜いて目立っていた。
背景との関係性について一考の余地はあるものの、それぞれのキャラクターやパーツはどれもユーモラスで、表現においての発展性を感じさせた。

同じく優秀賞の西原澄乃さんの作品は、清らかで澄みきった朝の光の中でまどろむ少女の姿が描かれている。
写実のようでありながら、自身の心象風景として表しているかのような柔らかな空気感がとても美しい作品であった。

遠藤賞の松本亮平さんの作品は、宗教的なアイコンによって動物たちが擬人化され、絵画的な物語性の面白さを感じさせる。
群像が描ける強みを生かせば、さらなる活躍が期待出来ると思う。

毎年、選ばれた作品は東京都美術館で展示されるのだが、是非とも多くの方に生の作品に触れていただきたいと願っている。
やはり、印刷されたものと、実際に作品の目の前に立って観るのとでは、大きく印象が異なるのだ。
また、無地のキャンバスから生み出された作家各々の世界観に、必ずや自らの創造力も刺激されるはずである。

今年も作品の当落には相当悩まされた。
近年は具象傾向が強いので、来年からは抽象性を帯びた表現の巻き返しにも期待したい。

 

絹谷 幸二先生

絹谷 幸二先生
  • 審査員 絹谷 幸ニ( きぬたに こうじ)
  • 1943年奈良県生まれ。62年 奈良県立奈良高等学校卒業。66年 東京芸術大学美術学部油画科卒業(小磯良平教室)。
  • 67年 独立賞受賞。68年 同大学院壁画科(島村三七教室、アフレスコ古典画研究)卒業。独立美術協会会員となる。70年 イタリア留学(ヴェネツィア・アカデミア入学、ブルーノ・サエッティー教授、アフレスコ古典画法等研究)。74年 第17回安井賞受賞。78年 マニフェスト賞受賞(イタリア・マニフェスト展)。83年 第2回美術文化振興協会賞受賞。87年第19回日本芸術大賞受賞。89年第30回毎日芸術賞受賞。93年 東京芸術大学美術学部教授。97年冬季オリンピック長野大会公式ポスター・競技別ポスター原画制作。
  • 01年独立美術協会第68回展出品作≪蒼穹夢譚≫ にて日本芸術院賞受賞。芸術院会員となる。10年、東京藝術大学教授退任。現在、大阪芸術大学教授、日本芸術院会員。独立美術協会会員。東京藝術大学名誉教授。14年 文化功労者。

第12回世界絵画大賞展によせて

本展は年ごとに作品のレベルが上がって来ており、選ぶ私達が皆さんの作品に選ばれているといった感が深い。
しかも作品の質も多種多様であって毎年楽しみの種はつきない。
ことに30号ほどの大きさは絵に作者の意識が行き渡り、技術的にも充実した画面となっている。

大賞の津田光太郎さんの作「沼へと」は現代の若者の不安でこわれやすい心情がみごとに描きだされていて受賞となった。

優秀賞の西原澄乃さん「遅い朝」も画風は前者とは異なるが、若き日の希望とある種の不安がやわらかな筆運びで物憂げな朝を詩情豊かに描いていてすがすがしい。

優秀賞の鶴川勝一さん「M」は多彩な画面がユニークでユーモアあふれる作であり、他に類を見ない力作となっている。

東京都知事賞の北折整さんの作は絵画的なエッセンスやリズムがある。

絹谷賞の美馬匠吾さんの作は額縁にまではみ出す、得体のしれない生きとし生ける者たちのエネルギーを丁寧に書き出して、自在感がある。

シニア賞の斎藤史郎さんの作は多少古風な画面だがこの油彩画の真摯で力強い表現が「クロアチアのおばさん」の生き様そのままであり、好感がもてる画面となっている。

学生賞の涌井日菜子さんは若々しい機知に富んだ自画像で自身を表現している。

西尾均さんは丁寧に風景の中の若者を描き、今西紘一さんは現在の曼荼羅を赤一色の画面で構成している。

朝日宣弘さんは線描で「誰」と問い、本間佳子さんは都会の街路の断片を切り取り、平栗萌さんはバレーの踊り子の足元から、逆に舞台を見入る人々の人生をユニークに表現して心地良い。

以上賞作品を見てきたが、おしくも入賞を逃した作や、会場の都合で選びきれなかった作品の中にも優れた可能性を秘めたものなど多くあったことを一筆書き添えておきたいと思う。

佐々木 豊先生

佐々木 豊先生
  • 審査員 佐々木 豊( ささき ゆたか)
  • 1935年 名古屋市生まれ。 49年 三尾公三に出会い油絵を始める。 59年 国展国画賞(同'60)同35周年記念賞(‘61)59年 東京芸術大学油画科卒業。61年 同専攻科修了。
  • 60年~ 個展多数/67年 世界一周旅行。72年 U.S.Aフェーマス・アーチスト・スクール研修。78年~ 第1回現代の裸婦展準大賞・安井賞展・明日への具象展・具象絵画ビエンナーレ・日本秀作美術展・国際形象展・日本洋画再考展・現代の視覚'91展出品。92年 安田火災東郷青児美術館大賞。 98年 両洋の眼展倫明賞(同’01)元 明星大学教授。
  • 現在、国画会会員。

大賞 津田光太郎氏の着想と時代感覚に脱帽。

津田光太郎氏の大賞作は「幻想細密写実画」とでも言おうか。
流行の細密写実の大半が写真を起こしなのに対し、この絵は想像力で描いた写実画である。
こんな機械人間はこの世にいない。まことらしさを保障する必要がある。そうでないと、この白日夢は文字通り絵空ごとになってしまう。
そこで写実力の出番となる。津田氏の技量はそれによく答えている。
メカ世代でないと描けない傑作。奇抜な着想と時代感覚に脱帽。

優秀賞の鶴川勝一氏には独特の絵肌と発色の強さがある。その筈、染色を施した布地で構成されているのだ。
奇妙な人物の形と衣服の装飾性との組み合わせにも魅力がある。

優秀賞の西原澄乃氏の写実画はすりガラス越しにのぞいたようなムードに味わいがある。

東京都知事賞の北折整氏は人物や建物を画面上に、自由に解き放って都会の詩をうたいあげている。

シニア賞の斎藤史郎氏は油絵らしい重厚な絵肌と手堅いデッサン力に年輪を感じさせる。

学生賞の涌井日菜子氏の自画像には時代の空気「軽み」や「遊び心」があふれている。

さて、佐々木豊賞のお祭り画である。こんなに惜しげもなく絵具を使える若者はいない。果して、作者の乾徹氏はシニアであった。

個人賞を選ぶ段になって、この絵の前にすり寄ると、すでに山下裕二氏が仁王立ち。誰も寄せ付けない構えだ。
氏を押しのけて、札を貼りつけてしまった。数年前から、お祭り画を手がけている小生、どうしてもこのにぎにぎしさ、ぬけぬけした富士山や、夜空に舞う人物の、下手さかげんに学びたいのだ。山下先生ごめんね。

 

山下 裕二先生

山下 裕二先生
  • 審査員 山下 裕二(やました ゆうじ)
  • 1958年、広島県生まれ。東京大学大学院卒業。美術史家。明治学院大学文学部芸術学科教授。
  • 室町時代の水墨画の研究を起点に、縄文から現代美術まで、日本美術史全般にわたる幅広い研究を手がける。
  • 著書に『室町絵画の残像』、『岡本太郎宣言』『日本美術の二〇世紀』『狩野一信・五百羅漢図』『一夜漬け日本美術史』『伊藤若冲鳥獣花木図屏風』『水墨画発見』など。企画監修した展覧会に『ZENGA展』『雪村展』『五百羅漢展』『白隠展』『超絶技巧!明治工芸の枠』『20世紀琳派 田中一光』などがある。

素人と玄人の境目

今回、はじめてこの公募展の審査員を務めさせていただいた。
私以外の審査員は、全員いわゆる「洋画」の実作者で、しかも私よりかなり年配の方々。
正直言って、はたして審査が順調に進むのか、かなり不安だった。
なぜなら、かつて私が審査員を務めた「日本画」の公募展で、実作者の方々とかなり見解が異なることを何度か経験していたからだ。

だが、そんな心配は杞憂に終わった。事務局のスタッフが準備をしっかりしてくれたこともあって、800点以上の応募作からまずは200点の入選作を絞り、そこからさらに受賞作を絞っていく作業は滞りなく進んだ。
審査の過程では、私の意見も率直に申し上げたが、それも充分に反映された結果となった。

大賞の津田光太郎「沼へと」。メタモルフォーズする人物像は、一見して、石田徹也の作品に感化されたものではないかと思った。そうではないかもしれないが。
深刻な、根暗な心情が投影されたものかとも思われるが、細部を注視すればユーモアも密やかに盛り込まれている。

優秀賞の鶴川勝一「M」は、とりわけ独自の染織技法の完成度が際立つ作品。
この作家は以前から注視していたが、本展に応募していることは知らなかった。

同じく優秀賞の西原澄乃「遅い朝」については、若くして篤実な油彩技法を身につけ、自分なりのスタイルを確立していることに感心した。

私の個人賞とした阪元沙耶香「わたしはここよ」は、アクリル画でありながら輪郭の線描とフラットな色面を基本とした構成に作家の意欲を感じた。この方法と衣服の微妙な陰影は藤田嗣治を意識したものではないか。そうではないかもしれないが。

応募作には、受賞こそしなかったが、「素人」であるがゆえの魅力的な入選作が多数あった。
一方、これから「玄人」として生きていこうとする人の意欲的な作品もいくつかあった。結果としてその境目にいる人の作品を高く評価することになった。公募展とは、そういうふうに機能すべきだと思う。

 

主催・共催・協賛・後援

主催
世界絵画大賞展実行委員会事務局
共催
株式会社世界堂
協賛
(株)大日本美術工芸
安田精工(株)
(株)アートプリントジャパン
(株)クサカベ
(株)同志舎
ホルベイン画材(株)
ホルベイン工業(株)
(株)三重額椽
ラーソン・ジュール・ニッポン(株)
…その他27社
後援
東京都 新宿区
(株)公募ガイド
(株)広隆社
(株)芸術新聞社
(株)サン・アート
(株)サンケイリビング新聞社
(株)ステイショナー
(株)生活の友社(美術の窓)
(株)ニチマ
(株)美術出版社
(株)美術年鑑社
(株)ビジョン企画出版社