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第十一回 世界絵画大賞展タイトル画像

「第11回 世界絵画大賞展」 審査員の言葉

第11回世界絵画大賞展の審査を担当した4名の審査員をご紹介と、各審査員の「審査のことば」を掲載いたします。

遠藤 彰子先生

遠藤 彰子先生
遠藤 彰子
1947年東京に生まれる。68年武蔵野美術短期大学卒。86~87年文化庁芸術家在外研修員。
(賞)安井賞、昭和会展林武賞、二紀展宮本賞、同文部大臣賞、女流画家協会賞他。
(出品)日本秀作美術展、ジャパン・フェスティバル・ロンドン、現代日本絵画展・北京 他。
現在、二紀会理事・女流画家協会委員、武蔵野美術大学教授。
2014年 紫綬褒章 受章。

「可能性の拡大」

世界絵画大賞展も今年で11回目を迎えた。
毎年、入選作品が展示される東京都美術館では、数多くの才能が集まり切磋琢磨することで生まれる化学反応のようなエネルギーが感じられ、私としても楽しい時間を過ごすことができる。

継続して出品している方の中には、これまでの努力の結実が見て取れるような作品もあり、
進化の過程が見て取れたことにとても嬉しく思った。

大賞の磯田章恵氏の「見えているもの」は、妖怪という本来薄気味悪いモノたちが、あっけらかんとした日常生活を送っている。
現代では女子大生のろくろ首がいてもおかしくないのかもしれない。その着眼点と発想の面白さが評価につながった。

優秀賞の藤田遼子氏の「夏休みの日記」は、ポッカリと抜けた画面に浮かぶ少年が印象的である。
要素をそぎ落とし単純な構図にすることによって淡い色彩の美しさが際立ち、それが遠い過去の記憶を呼び起こすような
詩的な幻想性を生み出している。

同じく、優秀賞の小野田宏実氏の「遊戯、揚々」は、サーカスやカーニバルのような楽しさが溢れる作品となっている。
それぞれの動物たちがバラバラに描いてあるのだが、重なり合った形の面白さを考えてみると、さらに画面が纏まるのではないかと思う。

遠藤彰子賞のねねのりこ氏の「いただきます。」は、シンメトリーのように安定した構図であるにもかかわらず、区切られたそれぞれのパーツが組み合わされることによって多視点的な要素が生まれているところが面白い。
イラスト的でどこかとぼけた感じも好印象なのだが、より美術的な文脈で捉え、画風を発展させてみるのもありだと思う。

惜しくも選外になってしまった作品の中にも落としがたい佳作が多数あり、当落については相当悩んだ。

世界絵画大賞展は、既成の尺度にとらわれることなく広く作品を募集しているので、
今後とも新たな表現にチャレンジしてほしいと願っている。

絹谷 幸二先生

絹谷 幸二先生
絹谷 幸ニ
1943年奈良県生まれ。62年 奈良県立奈良高等学校卒業。66年 東京芸術大学美術学部油画科卒業(小磯良平教室)。67年 独立賞受賞。68年 同大学院壁画科(島村三七教室、アフレスコ古典画研究)卒業。独立美術協会会員となる。
70年 イタリア留学(ヴェネツィア・アカデミア入学、ブルーノ・サエッティー教授、アフレスコ古典画法等研究)。74年 第17回安井賞受賞。78年 マニフェスト賞受賞(イタリア・マニフェスト展)。
83年 第2回美術文化振興協会賞受賞。87年第19回日本芸術大賞受賞。89年第30回毎日芸術賞受賞。
93年 東京芸術大学美術学部教授。97年冬季オリンピック長野大会公式ポスター・競技別ポスター原画制作。
01年独立美術協会第68回展出品作≪蒼穹夢譚≫ にて日本芸術院賞受賞。日本芸術院会員に会員となる。10年、東京藝術大学教授退任。
現在、大阪芸術大学教授、日本芸術院会員。独立美術協会会員。東京藝術大学名誉教授。
文化功労章 受章。

第11回世界絵画大賞展によせて

本展は魅力あふれる作品が毎年多く集まり、審査するにあたり楽しい思いをさせていただいています。

中でも本年大賞を取った「見えているもの」磯田章恵さんの作はユニークそのもの。
日常のありふれた生活感の中で、隣り合わせに同居するドキッとする様なありえない不思議を描ききっている。
和のテイストをきっちり描写しそのテクニックも秀逸といえる。

「夏休みの日記」藤田遼子さんは広いプールの中にただ一人、白いクツをきちっと並べ背泳をしている人、
その人物の影がプールの底に映っている。
なんとも詩的な作品で夏休みの静かなプールにせみしぐれが聞こえてきそうだ。好感が持てます。

「遊戯、揚々」小野田宏実さんの動物達は今にも飛び出して来そうな躍動感に満ち溢れている。
中空の白い空間が遠近感をより一層高めている。3D時代の到来か。

「花」菅原瑶子さんの中心に主題を集中させる画面構成は、その描写力と相まって
作画上の技術力の高さを示している。

「THE ENCOUNTER」のMayu Okadaさんは出品者の多くの人々が頭を使って作画している立ち位置とは異なり、
身体の動きをそのまま筆に託して画面と対峙しています。
偶然が宇宙の星座を作った様に無意識の意識が「間の空間」を作っています。

この他に入落を問わず心に留まる作が沢山あったと思います。
次回作は他に類をみない独自のユニークさを発揮され、今後のご活躍を望みたいと思います。

佐々木 豊先生

佐々木 豊先生
佐々木 豊
1935年 名古屋市に生まれる。 49年 三尾公三に出会い油絵を始める。 59年 国展国画賞(同'60)同35周年記念賞(‘61)59年 東京芸術大学油画科卒業。61年 同専攻科修了。
60年~ 個展多数/67年 世界一周旅行。72年 U.S.Aフェーマス・アーチスト・スクール研修。
78年~ 第1回現代の裸婦展準大賞・安井賞展・明日への具象展・具象絵画ビエンナーレ・日本秀作美術展・国際形象展・日本洋画再考展・現代の視覚'91展出品。
1992年 安田火災東郷青児美術館大賞。 98年 両洋の眼展倫明賞(同’01)
元 明星大学教授。現在、国画会会員。

手がこんでいる受賞作

不思議な体験をした。
大賞の磯田章恵氏の「見えているもの」が私には見えてなかったのだ。この絵を私だけが無視した。他の3人の審査員がみな票を入れているのに。
なぜ?という視線を感じて、もう一度この絵を鼻先で見てみた。

と、アッと驚くユタカ。おまえの老眼は深刻だゾ。ろくろ首に初めて気が付いたのだ。
これは唯ならぬ絵だ。何という奇抜な発想なんだろう。日常生活の親と娘にひそむ葛藤をこんな形に視覚化するなんて。
それにしてももう少し肝心の首を明度差で分かりやすく示してくれたら。そうすると、せっかくの明るいパターンが崩れてしまうか。

優秀賞の小野田宏実氏は視点の設定に工夫がある。虫の視点は鳥のそれと違って不可能なのだ。
象を水面に泳がせて下へ潜って見上げるか、ぶ厚いガラス板に乗せて、つり上げて地上から眺めるしかスケッチする方法は無い。
作者の想像力の勝利だ。難しい動物達をこれだけ描ければ未来は明るい。大賞に推したかった1点。

優秀賞の藤田遼子氏の明快なイメージと簡潔な構図を買う。余分な要素が一つもないだけに靴が鮮烈。
このような画面を律する、大きくて単純な明と暗の形の構成は私も常に心がけている。大賞の磯田氏のように。

東京都知事賞の菅原瑶子氏の見事な描写力と画材の扱いに脱帽。
画面の隅まで塗らないで、白抜きの背景にポヂの形を一つの不定形な形にまとめるヴィネット様式は
アメリカのイラストレーションの常套手段であるが、どこで憶えたの?

佐々木豊賞、石神有紀氏は水に浮かぶ鯉と背後のお寺との組み合わせが絶妙だ。
お寺の前には傘をさす人物まで描かれている。
それがこの絵を観る私たちにとって逆さだからたまらない。

受賞作は発想、表現手段とも手がこんでいる。これぞプロ。

南嶌 宏先生

南嶌 宏先生
南嶌 宏
1957年生まれ。長野県出身の美術評論家。女子美術大学教授。筑波大学芸術専門学群芸術学専攻卒業。
インド放浪を経て、いわき市立美術館、広島市現代美術館の運営に参画。
1993年にカルティエ現代美術財団奨学生としてパリ留学。2000年から熊本市現代美術館で、学芸課長・副館長・館長を歴任。
08年から女子美術大学芸術学部芸術学科教授。10年から同芸術学部アート・デザイン表現学科アートプロデュース(AP)表現領域主任教授。
国際美術評論家連盟理事、全国美術館会議理事。
09年、第3回西洋美術振興財団学術賞受賞。
著書に「豚と福音」(七賢出版)など。

審査講評

今回初めて審査に参加させていただいたが、世界堂という誰もが知る画材会社が共催する絵画コンクールということもあって、年齢、キャリアなど幅広い応募者の、その多彩な表現と絵画制作に寄せるそれぞれの楽しみ方を、改めて体感させていただくことになった。

数次の予備審査を通して作品を絞り込み、入選作品の上位となる、
大賞作はじめ入賞作を討議と多数決をもって決定することになったが、結果、独自の感性をもって、絵画なるものの実存を表明しようとする作品に高い評価が集まった。

大賞受賞の磯田章恵氏の「見えているもの」は、日本画を思わせる薄塗の筆致によって仕上げられた油彩画だが、その筆使いの技術以上に、母と娘の不気味な関係に語られる、現代の日本の「家」に潜む、不穏な狂気の見事な表出に驚かされることになった。

優秀賞の藤田遼子氏の「夏休みの日記」は、一見静かな夜の遊泳を演じながら、揃えられたスニーカー、永遠の落下にも見えるそのポーズなど、どこか死の気配に触れるような時代の質感を湛える、忘れがたい印象を覚えた。

同じく優秀賞の小野田宏実氏の「遊戯、揚々」も、永遠に戻らない一瞬の華やぎの記憶を思い出に譬え、その光景を下方から上方を仰ぎ見るという、不意にして新鮮な視覚の角度に広がる世界に展開した秀作。

東京都知事賞の菅原瑶子氏の「花」は、白壁と人物、そして植物という質感の異なるモチーフをひとつの花としての見立てるかのように、卓越した描写力によって溶け合わせ、甘美にして緊張感のある画面を生み出した。

また南嶌宏賞として選んだ野中美里氏の「繋がる日まで」は、その表現力に稚拙さは残すものの、画面に湛えられる、絵画史を踏まえ、流行に左右されない絵画なるものの本質に至ろうとする意識の表れに好感を持った。
将来への期待を込めての賞として受け止めていただけたら幸いである。

入賞作、入選作のすべてに触れることはできないが、時代の見えない空気や気配を表わす、絵画にしか存在しない力について考えさせられた審査であり、多くのことを学ばせていただいた。

主催・共催・協賛・後援

主催
世界絵画大賞展実行委員会
共催
株式会社 世界堂
協賛
(株)大日本美術工芸
安田精工(株)
(株)クサカベ
(株)同志舎
ホルベイン画材(株)
ホルベイン工業(株)
(株)三重額椽
ラーソン・ジュール・ニッポン(株)
…その他27社
後援
東京都、新宿区
(株)公募ガイド
(株)広隆社
(株)芸術新聞社
(株)サン・アート
(株)サンケイリビング新聞社
(株)ステイショナー
(株)生活の友社(美術の窓)
(株)ニチマ
(株)美術出版社
(株)美術年鑑社
(株)ビジョン企画出版社