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第5回世界絵画大賞展

■ 審査員のことば ■

   審査員長 佐々木豊(画家)

 参った。こんなパンチのある絵、描けたらいいなと思う。若者のみが描ける絵である。 目から光が迸り出るイメージはどこから得たのだろう。漫画かアニメか?大賞の石山浩達氏にきいてみたい。 筆触を残さないエアブラシ技法?にも脱帽。ウィーン幻想派のブラウアーに見せてやりたい。
 優秀賞の吉行鮎子さん。金子國義はお好き?國義は人形のように固いけれど、あなたのは生々しい。 自分の顔を描いたからか?手にやや動きに欠ける。手はむつかしいからね。単純な明暗と色面構成が訴求力を強めていますね。
 優秀賞の中田拓法氏の絵も明と暗の二つの単純なパターンで構成されている。 お化けのような不気味な樹と前景のがいこつ人間、それにモノクロームの色調。この三つが幻想味をかもしだしていますね。  国際展賞の荒川由貴さんは難しい群像によくぞ挑戦。正面、横、逆さ顔を組み合わせたところに作者の冒険を認めます。
 佐々木豊賞の柿沼宏樹氏は見るほどにおもしろさが増してくる。アイデアと濃密さは大賞作品に匹敵する。
 今年は総じて若手が勝利。頑張ろうシニア。

   審査員 絹谷幸二(画家・東京芸術大学教授)

 本年の世界絵画大賞展は良作が沢山集まり入選すら大変むずかしい激戦になりました。年ごとにレベルが上がって来ている感を深めながら審査しました。 しかも、この大賞展は作風が多岐に渡り個性あふれる御作が認められました。
 それら多数の作の中から石山浩達氏の劇画かと見間違うほどの力強い作が大賞となりました。 眼光から光が発散し、絵画とは見る作法であるということを伝えているのでしょうか。現代という時代を背景にした秀作であると思いました。 優秀賞の中田拓法氏吉行鮎子氏の作は筆力に富んだ静かな御作ですが心に染みる作です。
 絹谷幸二賞の片岡亮氏の作品。とあるレストランでしょうか?どこにでもある都会でアルバイトする市民をさりげなく描いた作は好感を呼びました。
 又、その他にも秀作は山積でしたが、それぞれの顔を持ち、独自の個性が輝いていたと思います。入選落選を問わず、描く仲間達の元気なエネルギーを感じつつ、審査をさせていただきました。

   審査員 本江邦夫(美術評論家・府中市美術館館長)

 絵画には世界の実相を写しだす「鏡」のようなところと、勢いよく未来を投影する「映写機」のようなところがあります。
 果てしない慢性的な不況は、絵画つまり「色とかたち」に確実に影響をあたえていることは、出品作ぜんたいに見られる見通しの悪さによく現れています。 柿沼宏樹さんの、異国の街に人を食う建物が潜んでいるという発想はユーモラスではありながら、目下の絶望的な不況抜きには考えにくいものです。
片岡亮さんの堅実に描かれたどこかの飲食店の内部は窓ひとつ見えず、人を描いていながら人の気配がありません(この方がまだ18歳だと知って驚いています)。 笹川香織さんの日本画も「帰り道」を描いているはずなのに、作者の立ち位置も、帰るべき方向も見えず、すべてが朦朧としています。 要するに、立ち尽くしているのです。同じような曖昧さは中田拓法さんの頭蓋骨のある不気味な風景にも漂っていて、これが単純なメメント・モリ(死を想え)の絵とはとても思えません。
 内藤亜澄さんの描く、ぽっかりと目の前に開いた深淵を前にまさに立ち尽くす、寄る辺なき裸形の人物は私たちの分身かもしれないのです。画面ぜんたいの輪郭をいっさい見せない不分明さがここでは不安と直結しています。
 こうした状況的な暗がりの中で個を確定しようと思えば、吉行鮎子さんのように「半径45cm」の私的な、自分だけの空間を見据えるしかない、ということにもなるでしょう。これは何か決意のようなものを感じさせるきっぱりとした絵です。 荒川由貴さんの、子どもたちを熱っぽいピンク一色で活写したかのような、岩彩の物質感をいかした勢いのある描写にも、同じような決意、そして未来への眼差しを感じます。
 大賞となった石山浩達さんの描く、大宇宙のヴィジョンを背に金星(?)の上で目から強烈な光を放射する少年の最大の魅力は、目下の停滞した状況を吹き飛ばす、未来に向けられたそのどこまでも明朗な意欲にあるのではないでしょうか。絵画をいう「鏡」は今や未来を映しだそうとしているのです。

   審査員 遠藤彰子(画家・武蔵野美術大学教授)

 大賞の石山浩達氏の「Light in Venus」は、特撮映画に興ずる少年のロマンチシズム的世界観が小さな画面に不気味に構築され、得体の知れないエネルギーを放っていた。 子供の頃の記憶や心に存在する私的な空間を、主観的にではなく、あくまでも客観的に捉えている(そのように私は感じた)。 その客観的な視点と、現代的な視点とが重なり合い、私の中で特異な存在として審査の会場で強く目を引いた。丁寧に描かれている部分にも好感を持った。
 優秀賞の中田拓法氏の作品は、非常に詩的である。具体的なイメージとして描かれた卵のようなものと、それを囲う人間の形をした柵。このメタファーとシンボルが生み出す、独特な空気感がこの作品の魅力となっている。 抽象的な感情を表現するための具体的な形(もしくはその逆の関係性)が画面の中で非常に心地よいバランスを保ち、空間や幻想にとどまる事のないリアリティを読み取ることが出来る。興味深く拝見した。
同じく優秀賞の吉行鮎子氏の作品は、ユーモラスな感覚があるとは思うが、ギリギリアウトなのかセーフなのかよく分からない。古くもあり、新しさも感じなくはない。 そのギリギリの所で留まっている感じが良いのか。ただ不思議と変の境界線で奇妙な形でバランスを取っているのかもしれない。
 遠藤彰子賞の笹川香織氏の作品には、素朴な中に幻想的な良さがある。(良い意味でも悪い意味でも)モチーフの特異性に作家の想いを仮託したような作品が多い中、この飾り気のない風景画が私の中に最後まで残った。 画面には普遍的な要素を含みつつも、日常的な意識状態で見ている光や色とは異なるゆるやかな空気が感じられ、そこにホッとするような居心地の良さが感じられた。
 惜しくも選外になった作品の中にも、落としがたい作品が多数あった。審査結果を見ると、受賞者の多くが若い世代であることに驚いた。上の世代にも是非とも頑張って欲しいと思う。今後も大いに期待したい。


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