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第1回世界絵画大賞展

■ 審査員のことば ■

   審査員長 米倉守(美術評論家・松本美術館館長)

ハイレベルの「YES and NO」

「美」よりも「真」が、「感情的」なよろこびよりも、「知的」なよろこびの方が、先に立って、大様豊潤な美術として魅力ある絵画作品が痩せている時代にあって、今回の応募作品は、美的悦び、情熱的な遊びに満ちた作品が目立った。
主催者の予想をはるかに上回る応募に、私たち審査員(佐々木・遠藤・米倉)は、事務局からの要望もあって本来の公募趣旨(Think global. Act.JAPAN)に沿った入選作品と、その表現力の王道を行く自由な作品群の双方を審査して展示することにした。
前衛の帝王マンセル・デュシャンに「開いたまま閉じているドア」という名品がある。寝室を閉めると浴室が開き、浴室を開けると寝室が閉まる一枚の扉と蝶番で実際に作者のアトリエにあった。(正式には「ラリー街十番地のドア」一九二七)。
私たちは、この蝶番になって楽しい選考をした。
二者択一の「Yes or No」を嫌い、「Yes and No」の裸眼の広い視座で厳しく審査をしたと自負している。
入選作品50点は、圧倒的に多かった油彩には西洋の組織的画法の長所を一応自らのものとして、基本のところから自分流に積み上げて、今日的な練りあげを試みている作品に焦点を当てた。
日本画、版画も色彩感覚、象徴性に光っている出品者の素質の涼しさに私は視点を置いた。
大賞の「life」は強い骨格と鈍い色調が繊細なコラージュで美しい調和をとり、コラージュは強い骨組みに支えられて、少しの気取りも神経質なところもないわかりやすい感銘を与えてくれた。
私たちの頭文字をとった「YES展」は、知や真よりも、現実の桟微と誰にもゆるがすことのできない画家の感性のスジがはっきり読みとれることのできる作品が選ばれた。
三人の審査員賞はさらにその画家でなければ嗅ぎだし得ない美世界をもった抽象風の二点と、生な物語性をユーモアで包んだ一点の作品をそれぞれの審査員が選んだ。
図画工作上の天分ではないもうひとつの豊かな世界である。
個々の入選作品にふれられないのは私個人としても無念だが、「Yes and No」という特別な目での国際公募展は、今にして思うと高いレベルゆえに今後この企画を大きく飛躍させる予感をもった。
これは開閉自在の美の扉である。


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